『Quick Japan』

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」3

●2月22日 *14時、太田出版で『QJ』赤田・北尾両氏と会う。いじめ対談のことを話す。「面白いね、やってよ。和光中学の名簿探してみるから」――まず、いじめられっ子を探すことにする。*20時、ボアダムズ*1のライヴを観に新宿リキッドルームへ。終演後、何と…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 17

今回僕が見た限りでは、いじめられてた人のその後には、救いが無かった。でも僕は、救いがないのも含めてエンターテイメントだと思っている。それが本当のポジティヴってことだと思うのだ。小山田さんは、最初のアルバム『ファースト・クエスチョン・アワー…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 16

―――沢田さんが「仲良かった」って言ってたのが、すごい救いっていう…… 「ウン、よかったねえ」 ―――よかったですよね。 「うれしいよ。沢田はだからね、キャラ的(キャラクター)にも、そういう人の中でも僕好みのキャラなんですよね。なんか、母ちゃんにチク…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 15

"いじめ紀行"の終点 最後に、小山田さんが対談するなら一番会いたいと言っていた、沢田さんのことを伝えた。沢田さんは、学校当時よりさらに人としゃべらなくなっている。 「重いわ。ショック」 ―――だから、小山田さんと対談してもらって、当時の会話がもし…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 14

●5月15日 小山田さんは「そこまでして記事が形にならないのは……」と言ってくれ、ライターの僕のために、レコーディングに入っていたにもかかわらず、二度目の取材に応じてくれた。まず、小山田さんに会い、村田さんのその後のことを報告した。「でもパチンコ…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 13

いじめられっ子に会いに行く 事実を確かめなきゃ。小山田さんにいじめられっ子の名前を教えてもらった僕は、まず手紙を書いた後、彼らとコンタクトをとっていった。何かロードムービーの中に入り込んだような感覚になる。 ●4月6日 村田さんの家に電話する。…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 12

この養護学校も、今は無いらしい。小山田さんが話しているのは、一〇年近く前の話だから、そういうこともあっておかしくない。では、いじめられっ子たちはその後どうしているのだろう。僕の学校の場合、同学年の奴のその後って全然付き合いの無かった奴のも…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 11

全く、いちいち面白い人のいる学校だ。和光とは、一体どんな学校なのか? 「他だったら特殊学級にいるような子が普通クラスにいたし。私立だから変わってて*1。僕、小学校の時からダウン症*2って言葉、知ってたもん。学校の裏に養護学校みたいなのがあるんで…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 10

「小山田の家に行く」 ―――他にいじめてた人はいるんですか? 「いじめっていうのとは全然違って、むしろ一緒に遊んでた奴なんだけど、朴(仮名)ってのがいて。こいつは名前の通り朝鮮人なんだけど、朝鮮学校から転校して来たのね。で、なんでからかわれたん…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 9

しかしどんなタイプの奴でも行かなきゃいけないのが修学旅行だ。この学校行事最大のイベントで、何も起こらない訳がない。 奇妙な立場 「中三の時、一コ上の先輩でダブっちゃった人が下りてきたんですよ、ウチのクラスに。で、その人が渋カジの元祖みたいな…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 8

いじめ談義は、どんな青春映画よりも僕にとってリアルだった。恋愛とクラブ活動だけが学校じゃない。僕の学校でも危うく死を免れている奴は結構いたはずだし、今でも全国にいるだろう。小山田さんには、いじめられっ子の二人目、村田さん(仮名)の話もして…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 7

沢田の"プライマル・スクリーム" ―――休み時間は、どこに? 「僕は、休み時間は、他のクラスの奴とか仲いい奴いたから、何かどっか外行ったり、そういう感じだったけど。沢田は、……っていうか、こういう障害がある人とかって言うのは、なぜか図書室にたまるん…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 6

石川さゆり VS ジザメリ 「学校で透明な下敷きに好きなの入れるのって流行るじゃないですか。僕とかも入れてたんだけど、それ見て真似したのか何なのか、ある日透明な下敷きを沢田が買ってきたんですよ。それで、『あの下敷きに何が入るのか?』って僕はかな…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 5

沢田からの年賀状 「肉体的にいじめてたっていうのは、小学生ぐらいで、もう中高ぐらいになると、いじめはしないんだけど……どっちかって言うと仲良かったっていう感じで、いじめっていうよりも、僕は沢田のファンになっちゃってたから。でも、だからもう、と…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 4

"いじめられっ子"は二人いた 小山田さんによれば、当時いじめられてた人は二人いた。最初に登場するのが沢田君(仮名)だ。 「沢田って奴がいて。こいつはかなりエポック・メーキングな男で、転校してきたんですよ、小学校二年生ぐらいの時に。それはもう、…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 2

小山田圭吾=いじめっ子? 小山田圭吾といえば、数年前にアニエスb.を着て日本一裕福そうなポップスを演っていた、あのグループの一員だ。ソロになった今でも彼の音楽は裕福そうだが、そんな彼は私立小・中学時代*1いじめる側だったらしい。ヤバい目つきの人…

『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 1

僕は『月刊ブラシ』*1というミニコミを編集している。 インタビュー中心の雑誌で、二二の時に創刊して、もう二年が過ぎた。今までにインタビューしたのは、爆弾製造青年、五年間顔を合わせたことのない隣人、日本語学校の生徒、駆け出しの探偵、等々。特に決…