『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 12

この養護学校も、今は無いらしい。小山田さんが話しているのは、一〇年近く前の話だから、そういうこともあっておかしくない。では、いじめられっ子たちはその後どうしているのだろう。僕の学校の場合、同学年の奴のその後って全然付き合いの無かった奴のも含めて、「学校やめた」とか「宗教入った」とか結構情報が伝わってくるのだが、不思議なことにいじめられっ子のその後についてはまったく情報がない。小山田さんは知ってるだろうか。


ファースト・クエスチョン・アワード

「中学の同窓会があって。なぜか村田が来て。久々だから、みんなで『インタビューしよう』ってなって(笑)。『おまえ、今何やってんの?』とか聞いたら、『ビートルズのファンクラブ入っちゃった』とか言って(笑)。ビートルズと荻野目洋子のファンクラブに入ったとか言って、会員証をオレとかに見せびらかして(笑)」



「あのね、沢田にはね、『あれは実は演技なんだ』っていう噂が流れてて(笑)。なんか一時期『沢田をどっかで見た』っていうウワサが流れてて。『そん時は沢田は普通だった』ってね。『安部公房*1かなんかの本を読んでた』とかね(笑)」



「もともと噂の発端がいて。一コ下にやっぱ凄い奴で、犬川君(仮名)っていうのがいたんだけど。そいつはホントにマトモになったんですよ。後に『あの頃の俺は俺じゃない』とか言っちゃうような(笑)」



―――いるんだ、そういう人も。



「ウン。で、ちっちゃい頃に感電したとか言って、なんか体の半分ブワ~っとケロイドみたくなっちゃってて。手のところからブワ~っとなってて。『オレは感電してバカになった』とか自分で言って(笑)。で、いつも学校にすげー早く来てて、校門の前にいるんですよ。それでみんなが通学してくると、いきなり寄って来て『問題を出す』とか言って(笑)。答えられないような、すっごい難しい問題を出してくるんですよ。ホント、禅問答みたいな問題を出してくるの。『赤と緑、どっちが黄色?』とか、そんな問題を出してくるのね。『えー』とか言って、『何言ってんだよ』とか言ってね。なんか適当に答えたりすると『ブ―』とか言ってね、ツバかけてくんの(笑)。そうそう、スフィンクスみたいなの。で、ツバをペッ! ってかけてくんの。俺とか先輩だから『ふざけんなよ!』とか言って、バ~ンとか蹴っ飛ばしたりするんだけど。全然、バ~ンとかブッ倒れてもへこたれないの。またフラフラ~ッと次の獲物に行って、『問題を出す』とか言って(笑)」



「ホント、質問大賞*2はアイツなんですよ。ホントに質問大賞なんですよ。」



bibokj.hatenablog.com

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*1:日本実存文学の第一人者とされる。『箱男』『他人の顔』など、フリーク小説も多い。一九九四年死去。

*2:コーネリアスの1stアルバムのタイトルの日本語訳