『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 15
"いじめ紀行"の終点
最後に、小山田さんが対談するなら一番会いたいと言っていた、沢田さんのことを伝えた。沢田さんは、学校当時よりさらに人としゃべらなくなっている。
「重いわ。ショック」
―――だから、小山田さんと対談してもらって、当時の会話がもし戻ったら、すっごい美しい対談っていうか……。
「いや~(笑)。でも俺ちょっと怖いな、そういうの聞くと。でも…そんなんなっちゃったんだ……」
―――沢田さんに何か言うとしたら……
「でも、しゃべるほうじゃなかったんですよ。聞いた事には答えるけど」
―――他の生徒より聞いてた方なんですよね? 小山田さんは。
「ファンだったから。ファンっていうか、アレなんだけど。どっちかっていうとね、やっぱ気になるっていうかさ。なんかやっぱ、小学校中学校の頃は『コイツはおかしい』っていう認識しかなくて。で、だから色々試したりしてたけどね。高校くらいになると『なんでコイツはこうなんだ?』って考える方に変わっちゃったからさ。だから、ストレートな聞き方とかそんなしなかったけどさ、『オマエ、バカの世界って、どんな感じなの?』みたいなことが気になったから。なんかそういうことを色々と知りたかった感じで。で、いろいろ聞いたんだけど、なんかちゃんとした答えが返ってこないんですよね」
―――どんな答えを?
「『病気なんだ』とかね」
―――言ってたんだ。
「ウン。……とか、あといろんな噂があって。『なんでアイツがバカか?』っていう事に関して。子供の時に、なんか日の当たらない部屋にずっといた、とか。あとなんか『お母さんの薬がなんか』とか。そんなんじゃないと思うけど(笑)」
―――今会ったとすれば?
「だから結局、その深いとこまでは聞けなかったし。聞けなかったっていうのは、なんか悪くて聞けなかったっていうよりも、僕がそこまで聞くまでの興味がなかったのかもしれないし。そこまでの好奇心がなかったのかも。かなりの好奇心は持ってたんだけど。今とかだったら絶対そこまで突っ込むと思うんだけど。その頃の感じだと、学校での生活の一要素っていう感じだったから。でも他のクラスの全然しゃべんないような奴なんかよりも、個人的に興味があったっていうか」