『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 10

「小山田の家に行く」

―――他にいじめてた人はいるんですか?



「いじめっていうのとは全然違って、むしろ一緒に遊んでた奴なんだけど、朴(仮名)ってのがいて。こいつは名前の通り朝鮮人なんだけど、朝鮮学校から転校して来たのね。で、なんでからかわれたんだっけ……、とにかく、本当にピュアでいい奴なのね。だからんだろうけど。あ、思い出した! これ実は根深いんだけど。初日の授業で、発表の時にはりきって『はい』って手挙げたんだけど、挙げ方がこんな(ウルトラマンスペシウム光線に似たポーズ)だったのね。それで教室中大爆笑になって、それでからかわれ始めた。でもそれは朝鮮学校の手の挙げ方だったのね」



「あと、こいつの家は親が厳しくて、門限が五時とか。で、無理やりひきとめてサ店とか入って、食うだけ食って五時過ぎたら『じゃあ!』とか言って(笑)」



「ここの親は、怒るとすぐ子供を坊主にしちゃうのね。で、朴がラジカセを買うって一万円ためてたんだけど、ある時、ベランダに閉じ込められて、窓とか鍵閉められちゃったの。そしたら窓ガラス蹴り破って出て来て。先生に叱られて結局ラジカセの一万円でガラス代弁償することになったの(笑)。次の日、やっぱりこいつ坊主になってました(笑)」



「で、ある日『おまえ、そんな家出ちゃえよ。ウチ泊めてやるからさ』とか半分冗談でアドバイスしたら、ホントに朝の六時に駅から電話かかってきた。仕様が無いから迎えに行って家に置いてあげたんだけど、こいつのバッグが着替えじゃなくて教科書で一杯でさ。夏休みなのに(笑)。しかも弟に『小山田の家に行く』って思いっきり告げてきちゃったらしくて、結局すぐ親が迎えに来て。僕は怒られた(笑)」



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