『Quick Japan』95年3号 「いじめ紀行 第1回ゲスト 小山田圭吾の巻」 9

しかしどんなタイプの奴でも行かなきゃいけないのが修学旅行だ。この学校行事最大のイベントで、何も起こらない訳がない。


奇妙な立場

「中三の時、一コ上の先輩でダブっちゃった人が下りてきたんですよ、ウチのクラスに。で、その人が渋カジの元祖みたいな人で。バカな先輩なんだけど。でも僕はわりと仲が良かったのね。で、同じ班になっちゃって、そのまま修学旅行に行くことになっちゃったんですよ。そのメンツっていうのが、村田と僕とその渋カジ(笑)。三人同じ班で。かなりすごいキャラクター(笑)。好きなもんどうしが集まったとかじゃ全然なくて(笑)、たまたまそういう班だったんですけど。そいで修学旅行とか行ったら同じ班じゃないですか。密室だしさ……他の班の奴とかも色々来てたりしてさ。で、ウチの班で布団バ~ッとひいちゃったりするじゃない。するとさ、プロレス技やったりするじゃないですか。例えばバックドロップとかって普通できないじゃないですか?だけどそいつ軽いからさ、楽勝でできんですよ。ブレンバスターとかさ(笑)。それがなんか盛り上がっちゃってて。みんなでそいつにプロレス技なんかかけちゃってて。おもしろいように決まるから『もう一回やらして』とか言って。それは別にいじめてる感じじゃなかったんだけど。ま、いじめてるんだけど(笑)。いちおう、そいつにお願いする形にして、『バックドロップやらして』なんて言って(笑)、"ガ~ン!"とかやってたんだけど。で、そこになんか先輩が現れちゃって。その人はなんか勘違いしちゃってるみたいでさ、限度知らないタイプって言うかさ。なんか洗濯紐でグルグル縛りに入っちゃってさ。素っ裸にしてさ。そいでなんか『オナニーしろ』とか言っちゃって。『オマエ、誰が好きなんだ』とかさ(笑)。そいつとか正座でさ。なんかその先輩が先頭に立っちゃって。なんかそこまで行っちゃうと僕とか引いちゃうっていうか。だけど、そこでもまだ行けちゃってるような奴なんかもいたりして。そうすると、僕なんか奇妙な立場になっちゃうというか。おもしろがれる線までっていうのは、おもしろがれるんだけど。『ここはヤバイよな』っていうラインとかっていうのが、人それぞれだと思うんだけど、その人の場合だとかなりハードコアまで行ってて。『オマエ、誰が好きなんだ』とか言って。『別に…』なんか言ってると、パーン! とかひっぱたいたりとかして。『おお、怖え~』とか思ったりして(笑)。『松岡さん(仮名)が好きです』とか言って(笑)。『じゃ、オナニーしろ』とか言って。『松岡さ~ん』とか言っちゃって。かなりキツかったんだけど、それは」



以上が2人のいじめられっ子の話だ。この話をしてる部屋にいる人は、僕もカメラマンの森さんも赤田さんも北尾さんもみんな笑っている。残酷だけど、やっぱり笑っちゃう。まだまだ興味は尽きない。



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